夢月夜

第三夜(十一)


「思念、だった……?」
「うん。身体は遠い昔……朔羅が手にかけた時にはもう、消滅していて……ただ、強い思いと自分が死んだことを理解出来てなかったみたいで、実体を持たないまま、魂だけが彷徨ってたんだよ」
 浅葱は背中に着物を丸めたものを置いて、それに寄りかかる形で身を起こしていた。
 あの日から数日。
 浅葱は未だに回復出来てはいない。傍には朔羅が付きっきりで、彼の看病を行っている。
「そうか……」
 浅葱の言葉に、遠い目をしながらそう応える朔羅。
 そんな彼の顔を、浅葱は首を傾けながら覗き込んできた。
「朔羅?」
「……何? 浅葱さん」
「大丈夫……だよね?」
 心配そうな声と、不安そうな瞳。
 それを見て、小さく笑いながら朔羅はゆっくりと腕を伸ばして浅葱を抱きしめる。
「僕はもう、大丈夫だよ」
 身体に伝わる浅葱の体温が、温かかった。
「……熱がある」
「平気」
 体を離そうとする朔羅の背中に自分の手を置いて、彼の着物を掴む。
「横になったほうがいいよ、浅葱さん」
「……いいの。平気だから」
 朔羅が肩に手を置いて離そうとするが、浅葱は指に力を込めて強く抱きついてきた。
 その言葉には、若干の震えがある。
 身体も心も、今の浅葱には足りないものばかりだ。
「浅葱さん」
 朔羅が名を呼びながら浅葱の顔を覗きこもうとする。だが彼は、朔羅の胸に顔を埋めてしまい、それを拒否した。
 実はこの行動は今に始まった事ではなかった。
 ここ数日間の浅葱は、とても不安定だ。
 それら全ての事を把握しながら、朔羅は彼のそばに居続ける。――彼の代わりに。
 賽貴は桜姫の言いつけどおり、あれから一度も姿を見せてはいない。
 今も浅葱の枕元に賽貴の符は置かれたままであるが、そこから出てくる気配すら感じなかった。自在に出てくることが出来るにも関わらずだ。
(……頑固者なんだから。浅葱さんも、賽貴さんも……)
 そう心で思いながらも、朔羅がそれを口にすることはない。
 少なくとも、自分にも責任があると感じているからだ。
「――よろしいですか?」
「白雪」
 鈴のような衣擦れの音が耳に届いた。
 それに目をやれば、白雪の姿がある。
 浅葱はそこでようやく朔羅から離れて、元の位置へと身を落ち着かせた。
 朔羅の隣に腰を下ろす白雪は、伏し目がちに浅葱の手を取る。彼女は朝と夕に、必ず浅葱の体調を確かめるためにこうして姿を見せるのだ。
 主の手首に指を当て脈を図り、体温を確認する。
「熱があります」
「……わかってる」
 白雪は俯く浅葱を見たあと、朔羅を少し睨んだ。
「ちゃんと看てるよ」
 困ったように笑いながら、朔羅は背もたれの着物を取り除き浅葱を寝かせる。
 その行動をきちんと見届けてから、白雪は再び唇を開いた。
「自覚なされませ。あなたは私共の主であり、この京を守る陰陽師。無理と意地は負担にしかなりませぬ」
「うん、わかってる……」
 額に置かれた白雪の手は、冷たくても暖かかった。
 彼女の言葉は、いつだって正しい。
 浅葱は深い溜息を吐いて、目を閉じる。
「心配かけたね……いつも、後先考えずに行動してごめん」
「謝るより先に、ご自愛なされませ。妾は責めているのではございませぬよ」
「うん」
 母のような姉のような、慈愛の言葉。
 桜姫が直接的な言葉を浅葱に掛けない分、白雪がその役目を担っている。
 それら全てのことも、浅葱自身は解っていた。優しい彼女に感謝しつつ、またため息が溢れる。
「……浅葱さん、少し眠るといいよ。僕がちゃんと付いてるから」
「うん……」
 朔羅の言葉に、素直に頷く浅葱。
 白雪はそっと立ち上がり、ちらりと賽貴の符に視線を送りながら、誰にも聞こえぬため息を漏らして部屋をあとにする。
 浅葱は白雪を視線のみで見送ったあと、朔羅の手を握りしめて、また目を閉じた。
(……賽貴)
 心の中で、幾度も呼んだ名前。
 自然と、涙があふれてくる。頬を伝って耳に落ちるそれを、浅葱は拭うこともせずにいた。
「…………」
 言葉なく、傍にいた朔羅が彼の涙を拭ってやる。そしてゆっくりと髪を撫でてやってると、浅葱はそのまま静かに眠りについた。
「……ごめん、浅葱さん」
 小さく呟くその響きは、主には届くことはない。。
 握り締めたままの浅葱の手を両手で包み込み、そしてそっと己の唇を寄せた朔羅はしばらくそのままの姿勢でいた。



 一週間が過ぎ、浅葱は全回復とまでは行かないが、仕事には復帰していた。
 今日は朔であるために、屋敷に留まっている。
「そう……じゃあ、承香殿はもう安心なんだね」
『ああ、その節は大変世話になった』
 隆信の一の式神である燿が、その後の報告を伝えるために、浅葱のもとへと訪れていた。
 霊力の強い『彼』は、その場にいるだけでも自然と霊気を放っていて、それを若干苦手とする琳は几帳の後ろに隠れるようにして身を縮めていた。
『浅葱殿は、もう大丈夫なのか?』
「このとおり、元気だよ」
 燿の言葉に、浅葱は両腕を広げてにこりと笑う。その笑みには若干の無理もあったが、燿はあえてそれには触れずにいた。
『……女御から、文を預かってきた。心配されていたぞ』
「ああ、ありがとう……」
 浅葱の手元に、梔子(くちなし)の花が添えられた文を、燿が静かに落とす。
 すると浅葱はそれを指先に感じて、ほぅ、とため息を漏らした。
「美名さまは、いつも風情ある花を添えられるね……」
 文に使われる料紙や添えられる花などは、送り主の風格をも反映する。季節に合わせて選ばれるそれは、浅葱には勿体無いほどの高級な品ばかりだった。
 静かに文を手にして、ゆっくりとそれに目を通す。
 浅葱に対しての心からのお礼と、たまにお忍びで遊びに来てください、という内容が書いてった。
 それを見て、浅葱はくすりと笑みを漏らす。
「美名さまに、そのうちお伺いしますとお伝えください」
『……承知した。それから、これは我が主からだ。近いうちにこちらに伺うと仰っていた』
「?」
 燿が次に取り出したものは、小さな香袋だった。
 浅葱の手のひらに乗ったそれは、袋だけでは分からずに思わず小首が傾く。おもむろに口を開き、左の手のひらに出てたものは、ひとつの数珠玉だった。
 ――早く霊力を回復するように。そういう願いが込められた、緑色の綺麗な数珠玉だ。
「綺麗……」
 指に持ち、光に透かして目を細めながら浅葱はそう言う。嬉しそうな表情だ。
「ありがとう。隆信さまにもよろしくお伝えください」
 あの日から、こんなに穏やかな気持ちで笑ったのは初めての気がする。
 燿とはその後、他愛ない話を二つ三つ交わし、そして彼は九条邸をあとにした。ひらり、とひと蹴りで塀を軽々と飛び越えてしまう燿の後ろ姿を見送って、浅葱は縁へと進み出た。
 左手首に巻いてある自分の数珠を取り外し、結び目を解いて隆信からもらった数珠玉を継ぎ足して、頭上にかざす。
 ふふ、と満足そうに笑みを漏らしながら、浅葱はまたそれを手首に戻した。
『浅葱どの、御使者の気配がしますので、伺ってきます』
「ああ、うん。お願いね」
 リン……と首の鈴を鳴らしながら、琳が几帳から出てきてそう言う。
 そして彼は、浅葱の横まで歩み寄ったあと、ぽん、と縁を蹴って自分の役目を果たすために姿を消した。
「…………」
 自然と訪れる静寂のあと、庭に風が舞い込み木々が揺れる。
 それに目をやりつつ、浅葱はその場にすとん、と座り込んだ。
 ――ちくり、と胸が痛む。
 浅葱は胸に手を当て、そしてまた顔を上げる。
(……黄絽さんは、朔羅を本当に愛してた……。だけど、伝え方を間違ってしまって……。じゃあ、私は?)
 風が梔子の花の香りを、浅葱のもとへと運んでくる。甘いその香りは少しだけ濃厚で、彼女は噎せ返りそうになった。
『愛してる』
 黄絽の言葉を、脳裏に蘇らせた。
 朔羅に対して、ずっと呪文のように紡ぎ続けていた。
(言われたことないし……私からも、言ったこと、ない。『好き』と『愛してる』って、どう違うの?)
「ねぇ、教えてよ賽貴……」
 朔による変化で碧色に変化している浅葱の瞳が、ゆらりと揺れた。
 可憐な少女の姿、その柔らかい唇から溢れた言葉はしっかりと空気に乗せられ、形となる。
 強い風が吹いた。
 突風に金糸を巻き上げられ、それに釣られるようにして顔を上げれば、目の前には賽貴が立っている。
 浅葱は驚きもせずに、黙って彼を見上げた。
「……伝わっています。あなたの想いも、気持ちも全て」
 数週間ぶりに聞いた声音。低いけれど優しい響きには変わりはない。
 ただ、賽貴は浅葱の目を見ようとはしなかった。それでも膝を折り、浅葱に腕を伸ばしゆっくりと抱きしめる。
「賽貴……私の想いは、苦痛じゃない?」
「はい」
「本当に?」
「はい」
 腕の中、彼の着物を掴んで問いかける浅葱。
 賽貴はきちんと返事をくれるが、やはり目を合わせてはくれなかった。
 ――もっと、知りたかった。
「それじゃ、わからないよ賽貴……」
「……浅葱さま?」
 浅葱はそこで立ち膝になり、自分の体勢を整えた。そして目の前の賽貴の頬を両手ではさんで、ぐい、と自分へ向かせる。
「……!」
 次の主の行動に、さすがの賽貴も面食らったようにして、目を見開いたままで表情を凍らせた。
 完全に予想外なそれは、浅葱からの半ば強引な口づけだった。
 勢いがあまり、こつ、と歯があってしまい、慌てて彼女は身を離す。
「……っ、ごめんなさい……ッ」
「…………」
 浅葱は真っ赤になりながら、そんな言葉を漏らす。
「ごめんなさい。……でも、わたしは、賽貴が好き……。これは、迷惑、なのかな……?」
 半ば混乱もしている状態での、主の必死な訴え。それでも浅葱は一つ一つ、ゆっくりと言葉を続けた。
「浅葱さま……」
 賽貴は珍しく狼狽し、浅葱を再び抱きしめるがうまい言葉を探せないでいる。
 そうこうしているうちに、浅葱が再び息を吸い込んで何かを言おうと唇を開いた。
「賽貴が、……迷惑なら、もう、言わない。わがままも、言わない……っ、他の、誰かが好き、なら……ッ」
 たどたどしい言葉の上に重ねられるのは、湿り気のある吐息。
 浅葱は言葉を繋げつつ不安になったのか、目に涙を浮かべていた。
「ごめんなさい、賽貴……」
「――浅葱」
 ぽろぽろと涙をこぼしながらそういう浅葱に、賽貴が名を呼んだ。
 呼び捨てられるなど今までも一度もなかった上に、いつもの彼じゃないような気がして浅葱の肩が震える。
 怖いという感情は無かったが、それに近いなにかがあった。胸の奥を焦がすような、そんな気持ちだった。
「あなたは、勘違いしている」
「賽、貴……?」
「……そのまま聞いてくれ。俺は望んでここに居るし、それは自分で願ったことだ。あなたのために存在して、自分のためにあなたに仕えている」
 浅葱が顔をあげようとしたところで、賽貴はそれを止めた。
 そして彼女を抱き込んで、言葉を続ける。今まで聞いたことのない、彼の素のままの態度だった。
「いつでも俺は、心の奥底に醜い感情を持っている。あなたの傍にいながら、浅ましい感情を抱いている」
「……それって……?」
「あなたが欲しい。……いつでも、俺のそばに置いておきたい。抱きたい」
「!」
 浅葱の身体が、びくり、と大きく震えた。
 自分の耳元に届いた賽貴の声に、性的なものを感じ取ったからだ。
 一気に自分の体が熱くなっていくのがわかり、浅葱は慌てて彼から離れようとするが、賽貴がそれを許すはずもなかった。
「……こんな俺でも、あなたは好いてくれると……?」
 低い声音が、至近距離で届く。
 その響きが明らかに笑みを含んだものだと浅葱はわかっているのだが、どうしようもなかった。
 いじわるだ、と素直に思う。
 する、と頬に滑り込んでくるのは賽貴の大きな手だった。それは浅葱の頬全体をゆっくりと撫でたあと、おもむろに顎にかかった。
「もう、俺はあなたを手放すことはできない。……例えあなたが嫌だと拒絶しても、俺はあなたを逃がさないだろう」
「さ、賽貴……」
 浅葱はもう、賽貴の言葉をまともに聞くことが出来ずにいた。
 顔を真っ赤にして、近づいてくる彼の顔を見ることも出来ずにぎゅ、と瞳を閉じている。
 賽貴はそんな主を優しい瞳で目に止めたあと、小さく笑ってから抱き込んでいる浅葱の背中を自分の方へとぐい、と引いた。
 次に訪れるのは、柔らかい感触だ。
 もう何度触れ合ったかはわからない、唇。
 だが、浅葱にとってはこの触れ合いだけでも目を回してしまうような出来事であった。
 どんなに体を動かしても、賽貴の腕の力には到底かなわない。
「……、っ……さい、き……」
「天猫族は、独占欲が強い……俺も、それは変わらない。あなたをいつでも大切に想っている。誰よりも……」
 その言葉を聞いて、浅葱は再びの涙を目の端に浮かべた。
 思考はもう何も考えられないほどにいっぱいいっぱいだが、それでも。
「賽貴……ずっと、そばにいて……」
 精一杯、それだけを賽貴に伝えると、また唇を塞がれる。浅葱はそれを瞳を閉じることで受け入れて、ゆっくりと彼を抱きしめた。

「――お熱いねぇ」
 渡殿の向こうからそんな言葉を漏らすのは、朔羅だった。
 そしてその隣に立つのは、桜姫だ。厳しい表情を崩さずに、浅葱たちを見据えている。
「貴女の気持ちはわからないわけじゃない。だけど今回は、僕に免じて許してあげてよ桜姫さん」
「…………」
「あの二人はきっと、何があっても誰であっても、引き裂くことができないよ。……そういう気持ち、わかるでしょ?」
 肩をすくめつつそう続けても、桜姫は何も返しては来ない。
 だが、特に機嫌を損ねたわけでもなく、彼女はその場で身を翻す。
 ――解らないわけではないのだ。浅葱の想いも、賽貴の気持ちも。
 それでも、桜姫には桜姫の問題がある。
「……今回だけですよ」
 朔羅にだけ聞こえる声音で、桜姫はそう言い残しその場を去っていった。
 やれやれ、と朔羅は苦笑を浮かべつつ、彼女の後ろ姿を見送る。
 そしてその後、浅葱たちに視線を戻せば、賽貴がこちらの気配に気がついていて複雑そうな表情をしていた。
 朔羅は余裕の笑みで、ひらひら、と賽貴に向かって手を振る。
「とりあえずは、まぁ、大丈夫だから」
 彼はそうさらり、と告げて、自らも踵を返す。距離はあったが、賽貴には届いているのだろう。
 楽しそうにその場を後にする朔羅の背中を見やりつつ、賽貴はふぅ、とため息を吐いた。
「賽貴?」
「はい」
「あの……さっきみたいに、喋ってもいいんだよ?」
「……いいえ、浅葱さま」
 腕の中の浅葱が頬を染めたままでそう言えば、賽貴は静かに首を振った。
 浅葱にはそれがつまらなかったらしく、ぷぅ、と頬を膨らませる。
 そんな主が可愛くて、賽貴はまた浅葱を強く抱きしめた。
 そして二人の間に、久しぶりの笑顔が戻ったのだった。



 ――後日。
「ねぇ浅葱さん、僕と結婚しない?」
「えぇっ!? な、なに……? 突然……」
 自室でいつものように文机に向かっていた浅葱に、朔羅がとんでもない一言を投げかけてきた。
 当然、浅葱には予想もしない発言で、慌てている。
「突然じゃないよ? 僕はいつだって、浅葱さんを好きだって言ってきたはずだけど」
「……え? う、うん……?」
 浅葱は朔羅の言葉に惑わされて、首をかしげた。思考は混乱したままだ。
「――朔羅」
「おやおや、浅葱さんの愛しい君の登場だ」
 妻戸の入口に、賽貴が現れた。その表情はあまり良いとは言い難い。
 朔羅はそれをからかうようにして振り返り、腰を上げる。
「……ああ、二人が揃うと空気が熱くなるね。僕はお邪魔かな」
「さ、朔羅……!」
 浅葱は朔羅のそんな言葉に頬を真っ赤にさせて、賽貴は珍しく露骨に嫌そうな表情をしていた。
「独占欲が強い人って、怒らせると怖いからね。さっきのは、冗談」
 数日前に賽貴が言った言葉を蘇らせて、朔羅は軽い言葉を続けた。
 嫌な奴に見られてしまった、と後悔の色を浮かべるのは賽貴だ。そして彼は、諦めたようにして深い溜息を吐く。
「あ、でもね浅葱さん?」
「はいっ」
「僕は隙あらばって主義だから、賽貴さんに飽きたら僕のところにいつでもおいで」
「あ……う……」
 さらに続く朔羅のとんでもない言葉に、浅葱はまともな返事を一つも返せずにいた。そして妙に明るい朔羅を、見ることができない。
「さーて、お邪魔虫は退散するよ」
 楽しそうに笑いながらそう言い、朔羅は賽貴の横を通り過ぎる。
「僕はもう大丈夫だよ、ありがとう」
 賽貴にしか聞こえない声でそっと告げて、彼は軽い足取りでその場を去っていった。
 瞳だけで彼を見送った賽貴は、未だに照れている浅葱に向かって、歩みを寄せる。
「……朔羅、元気になってよかったね」
「そうですね……」
 浅葱の改めての言葉に、賽貴は抑え気味の声音で返事をした。
 元の朔羅になってくれて良かったとは思ってはいるが、浅葱や自分をからかうのだけは、どうしても納得いかないようだ。
 だが今は、浅葱がこうして楽しそうに笑うことが賽貴にとっては何よりも大切なことでもあった。
 流れていく時間とともに、自分たちもその流れへ。
 少しでも幸せだと思えるように、笑っていけるように。

『浅葱どの、火急の知らせを受けました』
「聞きます、どうぞ――」
 陰陽師・浅葱のいつもどおりの毎日が、また繰り返されようとしていた。


 第三夜・終。